2025/07/01
獣医師の大野です。何とか生きてます。
最近飼い主様と話していると話題になりがちの感染症について書いてみようと思います。
その感染症はズバリ、
SFTS(重症熱性血小板減少症)
です。
今回この病気について調べた理由なんですが、これまで獣医療従事者の感染の報告は何件かあったのですが、最近とうとうこの病気による死亡者が出てしまったんですよね。
(詳細はこちら)
この感染症はマダニが媒介するウイルスによる人獣共通感染症です。
動物への感染経路は当然ですがマダニに咬まれることで成り立ちます。
一方で人への感染経路としては
①動物同様にマダニによる刺咬
②感染者の血液や分泌液を介した感染(飛沫感染を疑う論文もあるようですね)
③感染動物による咬傷、あるいは濃厚接触(めっちゃ舐められるみたいな)
などが報告されています。
症状としては発熱、倦怠感、消化器症状(嘔吐や下痢、黄疸など)、内出血斑などの出血傾向があり、検査所見としては白血球数の減少や血小板数の減少、肝数値の上昇などがあるようです。
人でも動物でも今のところはこれといった治療法はなく、ほぼ対症療法を行うくらいしか手立てがないようです。
致死率は人で30%、犬で40%、猫で66%という報告があります(ちなみにですが発症率は分かっていないようです)。高すぎて怖いわ😱
ざっと調べて書いてても背筋が凍る感染症ですよね。最近までよく隠れてたなこいつら。
今のところこの感染症に対する最も有効な手立ては
マダニとの接触機会を減らす
ことです。
なのでわんちゃんやねこちゃんを草むらに入れないようにしたり、洋服などを着せてダニがつかないように…と言いたいところですが、その子の性格などもあってできることに制限があると思うのでそこまでは言わないです(本当はそうした方がいいと思うんですけどね😭)。
ただ、ダニの予防薬はしっかりと投与して、ダニが付着している時間を少しでも短くできれば、感染リスクは減らせるので、しっかり予防していきましょう‼︎
と言ったところでしょうか?
これからは動物だけでなく、ご家族や病院スタッフ、ひいては自分自身を守るためにもこれからはノミダニ予防の重要性が増してくるなぁと思い、簡単にではあるのですがブログに書いてみました。
もうちょっと詳しく知りたい方は以下のリンクもご覧くださいね。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A|厚生労働省
少し情報は古いですがこちらも。